日本リンパ学会理事の言葉

日本リンパ学会理事主に腕や足のリンパ液の流れが障害されることによりむくんでくる疾患です。
その多くは、乳がん、子宮がんなどの術後に起こります。
時期は術後すぐから数年を経る場合もあり様々です。

頻度は意外と多いのですが、医療関係者などにはあまり知られておらず、
最近になって少しずつ広まり始めているのが実情と思われます。

診断は上記のような手術をした後に起こった「色の変化」や「痛みのないむくみ」であれば多くの場合容易です。

経過観察には「患肢周径測定」などが行われます。

 

急性炎症性変化(蜂窩織炎 ほうかしきえん)

リンパ浮腫では、細菌感染を高頻度で合併します。
予防のため、皮膚の保護、外傷、過労などに注意します。

治療は、安静、抗生剤投与、発赤部の冷却と浮腫液の軽減(除去など)です。

リンパ浮腫治療の現状

-複合的理学療法-
リンパ浮腫の治療は、腕や脚の「むくみ」を心臓の方へ戻す作業です。
基本的には、腕や脚を上げ、動かすことで「むくみ」の液を流します。
皮膚を擦って「むくみ」を心臓の方向へ誘導してもよいわけで、これをリンパドレナージュといいます。

一方で、せっかく「むくみ」を心臓の近い体幹部にもっていっても、日常では立ち上がる運動が多いため「むくみ」は再び腕や脚に戻って落ちてくることになります。
これを阻止するために弾性のスリーブ・ストッキングまたは、弾性包帯を用います。
その弾性でマッサージ効果も期待できます。

治療法
  1. 用手的リンパドレナージュ(MLDといいます。)
  2. MLD後の圧迫(弾性包帯、弾性着衣による患肢周径の維持)
  3. 圧迫したうえでの患肢の運動(弾性のスリーブ・ストッキング、弾性包帯によるリンパ管へのマッサージ効果)としてまとめ、さらに急速な浮腫の増悪をきたす蜂窩織炎(蜂巣炎)の予防として
  4. 患肢の清潔を含めた4つを柱とした保存的治療法を複合的理学療法Complex Decongestive Physiotherapy(CDP)と呼びリンパ浮腫治療のスタンダードとなっています。

※蜂窩織炎(蜂巣炎)とは、皮膚の深いところから皮下脂肪組織にかけての細菌(主に黄色ブドウ球菌)による化膿性炎症です。

この方法は第1期集中治療期と第2期維持治療期に分けられます。

第1期

基本的には約1ヶ月入院して、スキンケア、用手的リンパドレナージュ、運動療法とバンテージ法(弾性包帯)を行い、可能な限りリンパ浮腫の軽減を図る期間です

第2期

維持期は外来でセルフケアによって、軽減した状態を維持AND/OR軽減する期間です。

しかしながら、第1期の入院は現状ではほとんど不可能であり、さらに重要なことは、冒頭の治療の基本を踏まえて行えば、実際には外来治療でも第1期の集中治療期の効果を上げることが十分可能ことです。
この際、まず大切なことは、日常生活での患肢の挙上・運動と適切な弾性スリーブ・ストッキングの選択・着用方法です。
すなわち、患肢は就寝時だけでなく、日常生活時も高めに維持するよう心がけます。

弾性スリーブ・ストッキングは患肢に食い込みがない、適切な圧の製品で、腕や脚の形を整えるように用いることが大切です。
腕では、肘や肩、足では下腹部に弾性スリーブ・ストッキングの効果は及びませんので主に、リンパドレナージュが必要となります。
空気圧マッサージ器は、リンパドレナージュに代わるものではなく併用すると効果的でしょう。